reading-list.tokyo

ザ・ゴール コミック版

要約

とある工場長が上層部より利益が低いと叱責され、その問題を解決するために奮闘する物語です。私はエンジニアですので製造業とは業種が違うのですが、何気なく手に取った本を数ページ眺めて「ああ、これは私のいる現場で役に立つ本だな」と思いました。

本書では制約(ボトルネック)という概念があり、その制約を発見し、改善を行うプロセスについて具体的な例を用いてわかりやすく表現しています。この工場が目指すべき目標は「会社の利益」であり、その指標は「スループット」「在庫」「業務費用」を計測する事で目標を達成しているかどうかを見極める、というやり方を示しています。

制約(ボトルネック)を解消するプロセスは以下の通りです。ボトルネックは消滅するのではなく、絶えず移動するものです。

  • ボトルネックを発見する
  • ボトルネックを解消する
  • 別の場所がボトルネックとなる
  • 繰り返す

また本書における目標(The Goal)は会社が儲ける事で、それらの達成具合を計測する指標は以下の 3 つとしています

  • スループット: 販売を通じてお金を作りだす割合
  • 在庫: 販売しようとする物を購入するために投資したすべてのお金
  • 業務費用: 在庫をスループットに変えるために費やすお金

これらを指針とする事によって、改善点を発見、解消していき工場の利益が徐々に良くなっていきます。

名著だと思う理由

私の解釈ですが、本書では局所的に頑張るのではなく大局的に物事に捉えようという姿勢が大切である、というメッセージを発信していると思います。 この辺りは他の名著と呼ばれる本と共通している部分だと思います。

ただ、本書では具体的にどうすれば良いのか、という事を工場を立て直す、というストーリを交えて分かりやすく解説しているところが良書だと思います。そしてそのストーリーは、工場だけでなくいろんな場面に置き換えて応用する事ができるので他業種の人達に役立つ本だと思います。

また、この話をコミック化することによって話の濃度が薄まるのではなく、むしろイラストによってイメージ化しやすいところもポイントが高いと思います。

まとめ

ゴールを定めて、どのような行動をとるべきなのか。良い行動をとるためにはどのような数値を指標にするべきなのか、という本書の大前提は誰にでも応用できるし、コミックなのでとても読みやすいです。一度手に取ってみると良いと思います。

個人的には指針となる数値を定めた事により、どういう行動をとるべきなのかを同僚たちが主体的に考えるようになった、というチームビルディングのお手本をしれっと表現しているところも見どころだと思います。